Core i7-14700Fは、Intel(インテル)が第14世代として2024年初頭に発表したデスクトップ向けCPUです。型番の「F」は内蔵グラフィック非搭載を意味し、**外部グラフィックボード(GPU)**が必要です。
このモデルは、ハイパフォーマンスを求めるゲーマーやクリエイター、マルチタスクユーザー向けに設計されており、14世代のCore i7シリーズの中でもコストパフォーマンスの高い人気CPUです。
Core i7-14700Fの主な機能・特徴
項目 | 内容 |
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アーキテクチャ | Raptor Lake Refresh |
コア数 | 20コア(8P + 12E) |
スレッド数 | 28スレッド |
Pコア最大周波数 | 最大5.4GHz |
ソケット | LGA 1700 |
対応メモリ | DDR5-5600 / DDR4-3200 |
TDP(熱設計電力) | 65W(ベース)、最大219W |
グラフィック | なし(Fシリーズ) |
**Pコア(Performance Core)とEコア(Efficiency Core)**の2種類を組み合わせたハイブリッド構成で、負荷に応じて高効率な処理が可能です。
8つの高性能P-コア(Performance-cores)と12つの高効率E-コア(Efficient-cores)を搭載し、合計20コア28スレッドという構成を実現しています。この豊富なコアとスレッドの組み合わせは、特にマルチタスク環境やクリエイティブな作業において、その処理能力を最大限に発揮します。
3. 他モデルとの違い(Core i7-14700 / 14700K との比較)
モデル名 | コア/スレッド数 | 最大クロック | グラフィック | オーバークロック |
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Core i7-14700F | 20 / 28 | 5.4GHz | ✕ | ✕ |
Core i7-14700 | 20 / 28 | 5.4GHz | ◯ | ✕ |
Core i7-14700K | 20 / 28 | 5.6GHz | ◯ | ◯(可能) |
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Fモデルはグラフィックなし・価格が安い
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K付きはオーバークロック可能・ゲーマー向け
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無印はバランス重視
4. 性能の詳細とベンチマーク
CPUモデル | PassMark CPU Mark (マルチスレッド) | PassMark シングルスレッド | Geekbench 6 マルチコア | Geekbench 6 シングルコア | Cinebench R23 マルチコア |
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Intel Core i7-14700F | 41,858 | 4,272 | 17,500 | 2,770 | 33,114 |
Intel Core i7-13700F | 38,497 | 4,139 | 15,300 | 2,686 | 28,000 |
Intel Core i7-13700K | 45,983 | 4,337 | 15,000 | 2,854 | 30,000 |
AMD Ryzen 7 7700X | 35,816 | 4,190 | 15,478 | 2,931 | 19,872 |
AMD Ryzen 7 7800X3D | 34,238 | 3,753 | 15,319 | 2,657 | 18,193 |
ポイント:第13世代の13700FよりEコアが4つ増えており、動画編集やマルチタスク性能が大幅向上しています。
よくある疑問・気になるポイント
CPUの不具合問題は解決済み?
現在は解決済みです。一時期、Core i7-13700~14900シリーズで動作不安定になる不具合が報告されていました。具体的には「PCが急にフリーズする」「クロックが低下しパフォーマンスが落ちる」「熱暴走する」といった症状で、インテルも問題を認め原因を調査していました。この不具合はCPU内部の電圧制御のバグが原因と判明し、2024年後半~2025年前半にかけてBIOSのアップデートで修正されています。最新BIOS適用済みのマザーボードやPCなら心配いりません。
空冷で大丈夫?
Core i7-14700Fは定格65Wとはいえブースト時には200W超級の電力を消費し発熱します。重いゲームやレンダリングで長時間全コア負荷をかけると冷却が追いつかない可能性が高いです。レビューでも「14700Fの消費電力は14700KF(125W版)よりも高く、純正クーラーでの運用はとても無理」と指摘されています。高負荷時にはCPU温度が急上昇しサーマルスロットリング(性能低下)を招く恐れがあるため、最低でも中~大型のタワー型空冷クーラー(TDP150W以上対応推奨)や簡易水冷の導入がおすすめです。
「14700Fと14700の違いは?」
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Kあり vs Kなし: 「K」が付くCore i7-14700K/KFは倍率アンロック版(オーバークロック可能)で、定格TDPも125Wと高く設定されています。一方、Kの付かない14700/14700Fは固定倍率(OC不可)で定格65Wとなり、ターボ時の挙動もやや抑制されています。Kありは基本クロックが高めでマルチ性能が若干上ですが、その分発熱・消費電力も大きくなります。
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Fあり vs Fなし: 「F」付き(14700F/14700KF)は前述の通り内蔵GPU非搭載です。それ以外のコア数・動作周波数・キャッシュなどスペックはFなしと同一なので、純粋に「内蔵グラフィックスの有無」と考えて構いません。グラボを使うならF付きで問題ありませんが、内蔵GPUが必要な場合はF無しモデルを選ぶ必要があります。
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価格差: 一般に14700K > 14700 > 14700KF > 14700Fの順で価格が高く設定されています。
初心者のための選び方ポイント
最後に、初心者がCore i7-14700Fを検討する際に知っておきたいポイントをまとめます。
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「F付きCPU」はグラボ必須: 繰り返しになりますが、14700F単体では映像出力ができません。必ず別途でグラフィックボードを用意しましょう。もし「自作PC初挑戦でグラボ後付けは不安…」という方は、内蔵GPU付きの14700(無印)や、同等性能で内蔵GPU搭載の他モデル(AMD Ryzen7 7xxxGシリーズ等)も検討してください。もっともゲーミング用途ならグラボは必須なので、その場合F付きで問題ありません。
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消費電力と冷却に注意: 14700Fは性能=消費電力を引き換えに得ている面があり、扱いにクセがあります、電源容量は余裕を持って700W以上、クーラーも可能な限り上位モデルを選びましょう。
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用途適性: オーバースペックに注意: Core i7-14700Fはハイエンド寄りのCPUで、用途によっては「宝の持ち腐れ」になる可能性もあります。例えばライトなゲームやブラウジング程度ならCore i5やRyzen 5クラスでも十分快適です。14700Fは高性能ゆえアイドル時でも多少の消費電力があり、省電力PCを目指す場合には不向きかもしれません。一方で最新ゲームを最高設定で遊ぶ、ゲーム配信も並行する、動画編集や3D制作もしたいといった重い用途が複数当てはまる方には14700Fは心強い選択肢です。要は自分の主な用途に対してこのCPUの性能をフルに活かせるかを考え、オーバースペックになりすぎない範囲で選ぶのがコツです。
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コストパフォーマンス評価: 価格帯的には上位のCore i9-14900F(24コア)よりかなり安価で、下位のCore i5-14600KF(14コア)より性能に余裕があります。特にゲーマーやクリエイターにとって、14700Fは価格あたり性能バランスが良好だと言えます。
Core i7-14700Fは、内蔵グラフィックスを持たないという特性を理解し、適切なグラフィックスカードと冷却ソリューションを組み合わせることで、幅広い用途で非常に高い満足度を提供するプロセッサーと言えるでしょう。