GeForce RTX 5060の解説・性能・機能

NVIDIAは、2025年5月19日にGeForce RTX 5060を発売しました 。ミドルレンジモデルとして位置づけられ、主にフルHD(1080p)解像度での快適なゲーミング体験を提供することを目指しており、多くのゲーマーにとって現実的な選択肢となることが期待されています 。

RTX 5060が注目される大きな理由は、最新のBlackwellアーキテクチャによる性能向上と、NVIDIA独自のDLSS 4(Multi Frame Generationを含む)といった先進技術への対応です 。これにより、より滑らかで美しいゲーム体験が可能になります。また、前世代からの性能向上に加え、電力効率の良さも魅力の一つです 。

RTX 5060の概要

  • 発売日2025年5月19日

  • アーキテクチャNVIDIA Blackwell世代

  • CUDAコア数3,840基

  • ブーストクロック:2.50 GHz

  • メモリ8GB GDDR7(128ビットバス、448GB/s)

  • TDP:145W

  • 推奨システム電源:550W

  • PCIeインターフェース:5.0 x8

  • 対応技術DLSS 4、Multi Frame Generation(MFG)、AV1エンコード、DirectX 12 

RTX 5060は、最新のBlackwellアーキテクチャを採用し、性能と機能の両面で大幅な進化を遂げています。


主な機能と技術

DLSS 4 & Multi Frame Generation(MFG)

RTX 5060の最大の目玉機能の一つが、最新の「DLSS 4 Multi Frame Generation」です 。この技術は、AIを活用して追加のフレームを生成し、ゲームのフレームレートを大幅に向上させるものです。従来のDLSS 3(Frame Generation)よりもさらに多くのフレームを生成できるため、対応タイトルでは驚くほど滑らかな映像体験を実現します 。

Neural Rendering

レイトレーシング性能が前世代から向上しています 。これにより、光の反射や影をよりリアルに表現するレイトレーシング対応ゲームで、より没入感のあるグラフィックを楽しむことが可能です 。合成ベンチマークである3DMark Speed Wayでは、RTX 4060と比較してレイトレーシング処理能力が31%向上していることが示されています 。

AV1エンコード対応

最新のAV1ビデオエンコードに対応しており、ストリーミングや動画編集で高効率かつ高品質な映像処理が可能です。


ベンチマークと実ゲームでの性能

RTX 5060は、1080p解像度でのゲームプレイにおいて優れた性能を発揮します。以下は、実際のゲームでのベンチマーク結果の一例です。

ゲームタイトル 解像度 平均FPS(RTX 5060) 平均FPS(RTX 4060) 向上率
Assassin’s Creed Mirage 1080p 87 70 +24%
Final Fantasy XIV: Dawntrail 1080p 100 84 +19%
Mount & Blade II: Bannerlord 1080p 194 155 +25%
Cyberpunk 2077(DLSS 4使用) 1080p 120 96 +25%

これらの結果から、RTX 5060は前世代のRTX 4060と比較して、平均して20〜25%の性能向上を実現しています。

1080pゲーミング性能: RTX 5060は、フルHD(1080p)解像度において、多くの最新AAAタイトルで非常に快適なフレームレートを出す事が出来ます 。特にDLSS 4 Multi Frame Generationを有効にした場合、Avowedで220 FPS、Marvel Rivalsで330 FPSなど、驚異的な数値を叩き出します 。DLSS 4なしでも、RTX 4060 Tiと同等、RTX 4060より約26%高速という評価もあります 。eSportsタイトルなど、VRAMをあまり消費しないゲームでは、非常に高いフレームレートを維持できるため、高リフレッシュレートモニターの性能を最大限に引き出せます 。しかし、一部のVRAMを大量に消費するゲーム(例:Forza Motorsport、Returnal)では、1080pでもVRAM不足によりフレームレートが不安定になったり、時間経過とともに性能が低下したりする現象が報告されています 。

1440p・4Kゲーミングの限界とVRAMの課題: 1440p(WQHD)解像度では、RTX 5060の性能は大きく低下し、特にVRAMを大量に消費するゲームでは快適なプレイが難しくなります 。あるレビューでは、1440pでのRTX 5060の性能はRTX 4060を上回るものの、多くのゲームで60fpsを下回る結果が出ています 。4K解像度でのゲーミングは、RTX 5060にとって非常に厳しいと評価されており、VRAM容量と生処理能力の両方が不足します 。複数のレビューで「8GBのVRAMは2025年のゲームでは不十分」という意見が指摘されており、特に最新のAAAタイトルや将来のゲームでは、テクスチャ設定を下げたり、レイトレーシングを無効にしたりといった妥協が必要になる可能性が高いです 。


他モデルとの性能比較

以下は、RTX 5060と他のGPUモデルとの性能比較表です。

モデル CUDAコア数 メモリ メモリ帯域幅 TDP 特徴
RTX 5060 3,840 8GB GDDR7 448GB/s 145W DLSS 4、MFG対応
RTX 4060 3,072 8GB GDDR6 272GB/s 115W DLSS 3.5対応
RTX 3060 3,584 12GB GDDR6 360GB/s 170W VRAM容量が多い
RTX 5060 Ti 4,608 8/16GB GDDR7 448GB/s 180W 高性能モデル

RTX 5060は、RTX 4060よりもCUDAコア数やメモリ帯域幅が増加しており、性能向上が図られています。ただし、VRAM容量はRTX 3060の12GBに比べて少なく、重いゲームや高解像度でのプレイには注意が必要です。

RTX 3060/2060からのアップグレード効果

RTX 3060(2世代前)からのアップグレードでは、RTX 5060は平均で約45%~46%の性能向上を実現しています 。DLSS 4の恩恵を考慮すると、Hogwarts Legacyのような重いタイトルでは、RTX 3060の42 FPSに対し、RTX 5060は234 FPSと、劇的な改善が見られます 。RTX 2060(3世代前)からのアップグレードでは、さらに大きな性能飛躍が期待できます。Hogwarts Legacyでは、RTX 2060の27 FPSに対し、RTX 5060は234 FPSと、約8倍以上のフレームレートを叩き出しており、旧世代からの買い替えには非常に魅力的な選択肢となります 。電力効率もRTX 3060と比較して大幅に改善されています 。


ユーザーの口コミと評価

実際のユーザーからは、以下のような声が寄せられています。

  • ポジティブな意見:
    1080pゲーミング性能: 多くのユーザーやレビュアーは、RTX 5060が1080p解像度でのゲーミングにおいて非常に良好なパフォーマンスを発揮することを評価しています。特にeSportsタイトルなど、VRAMをあまり消費しないゲームでは、高リフレッシュレートモニターを活かせるほどの高いフレームレートが得られます 。
    DLSS 4 Multi Frame Generation: フレーム生成技術による大幅なFPS向上は、対応ゲームでの滑らかな体験を可能にし、特にレイトレーシングを有効にした際の性能改善が評価されています 。
    電力効率: 145Wという比較的低いTGPと、従来の8ピン電源コネクタの採用は、既存のPCからのアップグレードや、省電力志向のユーザーにとってメリットとされています 。

  • ネガティブな意見:
    8GB VRAMの限界: 最も多く指摘されている懸念点は、8GBというVRAM容量です 。
    特に1440p以上の解像度や、VRAMを大量に消費する最新のAAAタイトル、レイトレーシングを多用するゲームでは、VRAM不足によりテクスチャ品質を下げたり、フレームレートが不安定になったりする現象が報告されています 。
    MFGの入力遅延: DLSS Multi Frame Generationはフレームレートを向上させる一方で、一部のユーザーは入力遅延の増加を懸念しており、競技性の高いゲームではMFGをオフにする選択肢も検討されています 。  

全体的には、1080pでのゲームプレイにおいて高い評価を得ていますが、VRAM容量やドライバの最適化に関しては改善の余地があるとの意見も見受けられます。

RTX 5060 Ti:選択肢の可能性

RTX 5060 Tiは、RTX 5060よりも上位のモデルとして、2025年4月に既に発売されています 。主なスペックは、CUDAコア数が4608基(RTX 5060の3840基に対し約20%増)、ブーストクロックが2.57 GHzです 。価格は、8GBモデルが379ドルから、16GBモデルが429ドルからとされています 。TGPは180Wで、RTX 5060の145Wよりは高いものの、依然として省電力性に優れています 。  

RTX 5060とRTX 5060 Tiの主要スペック比較
項目 RTX 5060 RTX 5060 Ti (8GB) RTX 5060 Ti (16GB)
発売日 2025年5月19日 2025年4月16日 2025年4月16日
CUDAコア数 3840 4608 4608
ブーストクロック 2.50 GHz 2.57 GHz 2.57 GHz
VRAM容量 8 GB GDDR7 8 GB GDDR7 16 GB GDDR7
メモリインターフェース 128-bit 128-bit 128-bit
メモリ帯域幅 448 GB/s 448 GB/s 448 GB/s
TGP (消費電力) 145W 180W 180W
推奨システム電源 550W 600W 600W
PCIeインターフェース 5.0 x8 5.0 x8 5.0 x8

TX 5060 Tiには、8GBと16GBのVRAMモデルが存在します 。16GBモデルは、特に1440pでのゲーミングや、VRAMを大量に消費する最新タイトルにおいて、8GBモデルのVRAM不足を解消し、より安定した性能があります 。VRAMの安心感を考慮すると16GBモデルが「より良い選択肢」と見なされることが多いです 。

RTX 5060 Ti 16GBモデルは、1440pゲーミングを視野に入れているユーザーや、最新のAAAタイトルを高い設定でプレイしたいユーザー、あるいは将来にわたってVRAMの心配をしたくないユーザーに特におすすめです 。RTX 4060 Ti 16GBモデルと比較しても、RTX 5060 Ti 16GBは大幅に高速であり(1440pで約20%高速)、レイトレーシング性能も向上しています 。ただし、価格はRTX 5060より高くなるため、予算との兼ね合いが重要になります


まとめ:RTX 5060は買いか?

RTX 5060は、最新のAI技術や高速メモリを搭載し、1080pでのゲームプレイにおいて優れた性能を発揮します。価格も手頃で、コストパフォーマンスに優れた選択肢と言えるでしょう。ただし、VRAM容量が8GBと少なめであるため、重いゲームや高解像度でのプレイを考えている場合は、上位モデルのRTX 5060 TiやRTX 4070なども検討することをおすすめします。